がんのリスク その4 運動・身体活動量

今回は、パンダ先生の病気の学校からがんのリスク その4」

運動・身体活動量 がん になってからでも、遅くない!をご紹介いたします。

詳しくは、動画もご覧ください。

運動には「がん発症」の予防効果がある!?

運動習慣がある人ほど、「がんの発症」が少ない!という医学論文があります。

また、「がん」になって治療を受けた後の人でも、運動習慣をつけることで、再発率、死亡率が減少できるかどうか、という臨床試験も現在行われています。一般的に、運動(身体活動量の増加という)は生活習慣病やさまざまな病気のリスクを下げることができます。

ちなみに、健康のために運動をはじめた偉人として

徳川家康 が有名です!

自分の身体活動量を知ろう

まず、自分がどのくらいの身体活動をしているか計算してみましょう。計算式は以下の通りです。

身体活動量 = 運動強度 × 時間

運動強度とは・・・安静時の酸素摂取(3.5ml/kg/分)を「1」としたときに

その運動は、何倍の酸素を消費するかで、活動の強度を示します。

メッツ(Mets:metabolic equivalent)という単位が用いられます。

医学研究の多くは、この方法で計算されています。以下の運動強度例を参考にしてみてくださいね。

健康づくりのための身体活動基準(厚生労働省)」で検索してみて😊面白いですよ🎵

平均的な一週間の「身体活動量」

運動をせずに、最低限の活動範囲で一日生活をすると30Mets」の活動量になります。これが活動量の最低ラインです。

多くの医学研究では、平均的な一週間の過ごし方についてアンケート調査を行い、活動量を計算しています。

運動とがん死亡の関連

スウェーデンの大規模調査の結果を見てみよう

2008年にスウェーデンで行われた大規模調査の論文(論文番号PMID:18506190)を見てみましょう。この調査研究は、スウェーデンの約4万人の中高年男性を対象にしたものです。

横軸・・・メッツ(Mets)  縦軸・・・がんの発生率
最低限の活動量=30Mets を「1」とした場合
  • 一日60~90分のウォーキングをした人・・・がんの発症率 16%減
  • 一日30分のウォーキングをした人・・・がんの死亡率 34%減

毎日、適度な運動することが「がん発症率」を下げることが分かりました。また、がんだけでなく、そのほかの病気の予防にもつながり、全体の「死亡率」も下げるという結果が出ました。

でも…どのくらい運動すればいいの

どのくらいの運動が必要か?

がんの発症」を予防するために、効果的な一日の身体活動量は「50Mets・時/日が理想とされています。

以下は、身体活動「50Mets・時/日」の一例です。

毎日、「50Mets・時」くらいの運動をすると、がんの発症率」は約10%下がり

死亡率については、約半分に減少しています。

無理をせず、毎日コツコツ続けることが大切なのですね。

「がん」の予防効果は、たくさん報告されている

運動が「がんの発症」を予防するという内容の論文は、数多く報告されています。

アメリカの中高年女性のコホート研究(約7.4万人を対象)

週75分~150分の早歩きをする人・・・乳がんのリスク比 0.82

女性の運動は、乳がんのリスクの減少と関連あり。

28の論文を統合したメタ解析

活動量が多い人・・・大腸がんのリスク比 男性0.81 女性0.89

男女ともに、運動が大腸がんのリスクを減少

日本の研究データはあるの?

日本のデータ(JPHC研究)でも、男女ともに身体活動量が多い人ほど、がん発症のリスクを下げることが報告されています。

すでにがんになった人でも、運動したほうがいい?

海外では、がんの治療中、治療後の患者さんを対象とした研究も多く行われています。とくに、腸がん、乳がんでは、運動により死亡リスクが減少した、と報告されている論文が複数あります。

手術や抗がん剤治療などの影響で、体力が低下し、体が思い通りにできないことも多いと思います。体調と相談しつつ、少しでも体を動かすことが、再発・死亡率の減少につながります。

現在、カナダの臨床試験が進んでいます!

カナダでは、「1週間に10Metsの活動量を増やすと、10年間の再発が減らせるか?」という臨床試験が進んでいます。乳がんの化学療法中の患者さん、242人を対象に以下の3つのグループ群に分けて比較しています。

  1. レジスタンス運動群(筋肉に負荷をかける運動)
  2. 有酸素運動群(長時間継続して行う運動)
  3. 普通の治療群
8年間の無病生存率は、運動した群・・・83%  対照群・・・75%

統計学的な有意差はありませんでしたが、メンタル、体力、身体組成、化学療法完遂に良さそうな影響があったようです。結果的に、がんの治療後は適度な運動習慣を身に着けたほうが良さそうです。現在、大腸がんや卵巣がんでも、同じような臨床試験が行われています。

なぜ、運動が「がん」を予防するのか?

まだ、あまり解明されていません。毎日、適度な運動を続けることで、生活習慣病の改善し、がんのリスクを下げ、ほかの病気のリスクも下げることは、わかっています。ほかにも以下のような理由が挙げられます。
    • 大腸がんの場合・・・運動で腸の動きが良くなり、便秘が改善され、腸内環境を整う。
    • 糖尿病の場合・・・インスリン抵抗性が、がんの増殖に悪影響を与える。
    • 女性の場合・・・運動がエストロゲンの作用を弱め、体脂肪を減らす効果がある。

日本の身体活動基準の推奨は?

厚生労働省では「健康づくりのための身体活動基準(2013年)」を目標としています。

推奨されている基準値は、以下の通りです。

18歳~64歳・・・週 23Metsの活動 + 週 4Mets の運動

65歳以上・・・毎日 40分(強度問わず)

運動は、がんの予防だけでなく、糖尿病や循環器疾患のリスクも減少させます。現在の身体活動量を少しでも増やし、運動習慣を持つことが重要となります。

まとめ

今回は、パンダ先生の病気の学校から「がんのリスク その4 運動・身体活動量 がん になってからでも、遅くない!」について解説いたしました。

身体活動量を増やすことは「がん発症」の予防になります。また、一度がんになった人でも、運動することで再発・死亡率」の減少につながります。毎日、無理なく継続し、運動習慣を身につけましょう!

詳しくは、動画配信をしていますので、ぜひご覧ください。

次回は、運動・身体活動量の続き「がんのリスク その5 がんと食生活」です!

関連動画

タイトルとURLをコピーしました