痛みは突然やってくる!「胆石・胆のう炎」とは?

健康診断で「胆石があります」と書かれたことはありませんか?

胆のうの中に石ができてしまう病気で、これが原因で強いお腹の痛みが出ることがあります。「胆石発作」などといい、急に強い痛みが出る人がいますが、胆石を持っていてもなんの症状も出ない人も大勢います。症状は、なんとなく食後にお腹が痛むことがあるけど、それほど強い痛みが何度も出るわけでもない、という人もいます。そんなとき、治療はどうしたらいいんでしょうか?

この記事では、現役の消化器外科医パンダ先生が「胆石症」について、分かりやすく説明している「病気の学校」という動画サイトを紹介します。

さっさと動画を見たい!という方は、こちらからご覧ください。

1、そもそも胆石って何?

胆嚢という臓器の中にできてしまった石のことです。胆嚢の中に石(結晶化した石=結石という)ができることは珍しいことではなく、中年以降は加齢とともに胆石の保有率は高くなって、70歳以上になると約20%の人が胆石をもっているとも言われています。何の症状もないのに、健康診断で、「胆石がある」と言われることもあります。

胆石のできやすい体質、食事、持病などがありますが、なぜ?どんな風に胆石ができるのでしょうか?胆石のできる仕組みを知ることで、症状や治療法についてよく理解することができます。まずは、胆石ができる仕組み、胆嚢という臓器の特徴を勉強してみましょう。

2.胆石のできる仕組み

複雑なので、詳しくは動画の図解をよーく見てください。

食べ物は口から入って、胃、小腸へと流れていきます。小腸で、食べたものは血液中に溶かされて体の中に取り込まれます。小腸から栄養分を集めた血管は、どんどん合流していき、最後は太い「門脈」という血管になって肝臓に流入します。

肝臓では、食事から吸収された栄養分を「人間用」に組み立て直す作業をしています。だって、動物や魚の肉から取ってきたタンパク質などの栄養分はそのままでは人間の体に利用できないからです。タンパク質を分解して、人間用に組み立て直して心臓に送ります。それが肝臓の重要な役割なのです。この役割のことを「代謝」と言います。

さて肝臓の工場で材料を組み立て直したら、中には「いらない部品」が出てきます。または体にとって有害な物質も入ってくるかもしれません。そういうものは、体の外に出してしまいます。その時に不要なものを捨てる経路が、「胆道」なのです。肝臓には胆管という細い管が張り巡らされていて、ここに不要なゴミを「胆汁」として廃棄するのです。

胆汁の一時的な保管場所が「胆嚢」です。胆のう内の胆汁の成分が徐々に結晶化して胆石ができてくるのです。

詳しくは、ぜひ動画の図解をご覧ください。分かりやすく食べ物が吸収され、代謝される過程で、胆石ができてしまう過程について解説しています。

3、どんな症状が体に起こるの?

  • 食後に出現する強い腹痛(特にみぞおちの下から少し右側が痛い)
  • 右肩や右の背中に痛みが出ることもある(放散痛という)
  • 胆石から胆のう炎になると、痛みとともに高い熱がでる
  • 石が詰まっていると胆管炎や膵炎が重症化するので危険!                

4、治療はやっぱり手術?

特に症状が無い場合は、かならずしも手術をしなくても良いでしょう。まずは普通に生活して様子を見ます。しかし、胆石が原因で、お腹の強い痛みが出たり、熱が出る場合は手術を受けたほうが良いでしょう。小さな石は、腸に落っこちて軽い症状で治ったりすることもありますが、胆石は変なところに詰まってしまうと重症な胆管炎、すい臓炎などを引き起こして命にかかわることもある病気です。症状がある場合は、手術を受けるかどうか決断しなければなりません。

5.90%は腹腔鏡手術で胆のう摘出が行われている

手術の第一選択は「腹腔鏡下摘出術」です。

腹腔鏡下摘出術とは、小さな傷数カ所開け、そこに医療用のカメラを挿入し画面で見ながら手術を行います。胆のうという臓器は、取ってしまってもあまり日常生活に支障はありません。たまに胆のうをとったのに痛みが治らないという方もいらっしゃいます。十二指腸潰瘍などほかの病気がないかどうかも事前に調べておきたいところです。

6.まとめ

胆石の多くは、肝臓で発生した代謝産物(ゴミ)が胆のうにたまってできる結晶です。

全く症状がないのなら、すぐに治療は必要はありません。胆石発作が起こらないように日々の食生活に気を付けるくらいでよいでしょう。暴飲暴食を割け、過度のコレステロール接種、アルコール摂取などを控えるとよいでしょう。

胆石発作(お腹の強い痛み)が出た場合は近くの病院に受診して検査を受けましょう。石が詰まっている場合は、緊急手術になることもあります。

「胆石のことをもっと知りたい!!」「他の病気のことも学びたい!!」「パンダ先生って何者なの」と気になってしまった、そこのアナタ。下記のリンクから、「病気の学校」の授業を見学してみてください。校長のパンダ先生が分かりやすく、病気について解説いたします。

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