今回は、パンダ先生病気の学校から
「最大のリスクは、前がん病変・異時性多発」をご紹介いたします。
詳しくは、下の動画をご覧ください。
前がん病変とは?
前がん病変とは、明らかに「がん」とは断定できないが、顕微鏡で組織を見たときに「異型がある!」という状態を表します。これは、現時点ではがんとは言い切れないけれども「将来的に がん になってしまう可能性がある病変」ということで、注意深く経過を見ていく必要があります。
「がんの確定診断」は、病理医が顕微鏡を見て決定します。
これを病理検査といいます。
前がん病変 「異型とは!?」
「異型」には、細胞異型と、構造異型があります。
-
- 細胞異型・・・細胞の大きさ、形、染色体などの異常。
- 構造異型・・・細胞の配列が乱れている異常。
がんの診断は、主観的である。
つまり、がんの診断は 異型の程度によって決定さるため、診断する病理医によって若干の違いが生じることもあります。
がんの診断は、病理医の主観的な要素もあり、普遍的に同じ判断が下されるとは限りません。
- 病理医が顕微鏡を供覧しながら議論する研究会もあります。
- 海外の病理医と診断が一致しないこともしばしばあります。
誰が見ても「明らかにがん!」という検体ばかりなら、病理の先生の仕事も楽ちんなのですが、実際には一例一例で細胞の顔つきや、組織の様子がまちまちです。患者さんからすれば「がん」か「がんじゃない」かのどちらかしかないと思うかもしれませんが、悩ましいケースもあります。がんの診断を下すには病理医はじっくり観察を行い慎重にレポートを作成しているのです。
有名な前がん病変を見てみよう
代表的な「前がん病変」を挙げてみましょう。たとえば以下の4つは「がんになりうる炎症状態」と言えます。
- 萎縮性胃炎・・・ピロリ菌が増殖することにより、慢性胃炎をおこす。
- 食道・咽頭粘膜・・・お酒やたばこ、薬物に暴露される。
- バレット食道・・・逆流性食道炎が関与?
- 肝硬変・・・肝炎ウイルス、アルコール、脂肪肝などが原因。
細胞に炎症が起こると、それを治そうと、細胞増殖が活発に行われるため、がんが発生しやすくなります。そして、そのまま放置すると、長い経過で「がん」になっていく可能性があります。
いろいろな前がん病変
異時性多発とは?
「異時性多発」とは、一度がんの治療をしたあとに、別の場所に新たな がん ができることをいいます。一度がんになったひとは、同じリスクに暴露されているため、もう一度がんになってしまう可能性も高いのです。
たとえば・・・食道がんを治療した後に、食道の別の場所にがんが出来たり、
咽頭や喉頭など同じリスクを持つ別の臓器にがんが出来ることがあります。
注意が必要な異時性多発
- 胃がん・・・10%前後(内視鏡治療後)
- 大腸がん・・・20~30%
- 肺がん・・・3~5%(切除後)
- 肝硬変・・・ベースに肝硬変があると、肝臓がんが繰り返し出来る可能性があります。
通常は、フォローアップを勧められます。
がんの治療後は、一定期間、「再発がないか」フォローアップの検査が必要です。
「早期がん」の場合、治ったと思い、通院しなくなるケースが少なくありません。しかし、1-2年のうちに別の場所にがんが出来てしまう「異時性多発」の可能性は十分に考えられます。治療後のフォローアップ検査は、医師の勧めるとおりにしっかり受けるようにしましょう。
まとめ
今回は、パンダ先生の病気の学校から「がん検診編 最大のリスクは、前がん病変・異時性多発」について解説いたしました。
「前がん病変」をもっている患者さんや、一度 がんの治療を終えた人は、そうでない人と比べると今後も がん の発症に十分注意していかなければなりません。油断せず、自分のリスクに見合ったがん検診を考えていきましょう!
詳しくは、本編の動画をぜひご覧ください。