逆流性食道炎 ⚠ガンになる…? バレット食道編

今回は、パンダ先生病気の学校から

「逆流性食道炎 がんになる…? バレット食道編」をご紹介いたします。

詳しくは、下の動画をご覧ください。

バレット食道ってなに?

バレット食道とは、長期間にわたって逆流性食道炎が続くことにより、食道の粘膜が変化した状態です。変化した粘膜は、バレット粘膜と呼ばれ、食道の出口近くの粘膜が、扁平上皮から円柱上皮へ置き換わってしまっています。バレット粘膜のある食道をバレット食道といい、そこから発生した がん を「バレット食道がん」といいます。

バレット食道は、がんが発生する可能性が高いので注意が必要です!!

  • 扁平上皮…食道の粘膜などにみられる平べったい上皮細胞。
  • 円柱上皮…胃や腸などの粘膜上皮にみられる細胞で、円柱のような形をしている。

バレット食道の出来る場所

バレット食道は、0から3時方向(前から右側の粘膜)にできやすく、胃カメラもここを注意してみる必要があります!

バレット食道の定義

バレット食道の定義は、欧米と日本では違いがあります。

  • 欧米・・・1cm以上の円柱上皮+杯細胞がみえるもの(病理検査が必要。)
  • 日本・・・内視鏡だけで判断する。(そのため診断される患者さんが多い。)

LSBE と SSBE 

バレット食道は、バレット粘膜の長さによって LSBESSBE に分類されます。

  • LSBE(=ロングセグメントバレット食道)・・・全周に及んでいて、かつ 3cm以上の広範囲のものをいいます。
  • SSBE(=ショートセグメントバレット食道)・・・ロングセグメント以外は、ショートセグメントに分類されます。

    日本人は、ほとんどが SSBEショートセグメントバレット食道)

    分類されます。

バレット食道がんの発生率は、どのくらいなのでしょうか?

欧米の研究では?

2019年に発表された、欧米の報告(論文PMID:30939618)を見てみましょう。10本の研究論文を分析したものです。4097人のバレット食道を持つ人をフォローし、以下のリスクが明らかになりました。

  • SSBE(1979人)0.24% /年・・・3cm以下の場合
  • LSBE(2118人)0.76% /年・・・3cm以上の広範囲の場合

バレット食道は、長くなるほど がん のリスクが高くなることが分かりました。

3cm以上のバレット食道を持つ人は、注意が必要です!!

日本人の 場合は?

日本では、2017年にバレット食道についての多施設コホート研究が、中間報告されています。日本の34の病院で、以下の条件を対象に追跡調査を行いました。

  1. 215人が対象(3cm以上のバレット食道がある)
  2. 6人は最初から がん がある
  3. 残りの209人のうち、132人が1年以内にフォローアップの再検査を行った

2年くらいの経過観察後、このうち3人が がん に罹患し、

年率1.2%の がん の発生を認め、リスクが高いことがわかりました!!

内視鏡検査は毎年受けるべき?

日本では、食道がんのほとんどが扁平上皮がんのため、内視鏡検査についての推奨が、欧米や英国とは大きく異なります。

  • 英国のガイドライン・・・SSBEは3~5年、LSBEは2~3年ごとの検査
  • 米国のガイドライン・・・長さに関係なく3~5年ごとの検査

バレット食道から発生する食道がんのリスクが高い欧米では、胃カメラ検診は、日本ほど一般的ではありませんが、強く推奨されています。(ただし、この通りに行われていないのも現実です😓)

日本のガイドラインの推奨は?

日本では、バレット食道があってもSSBE(ショートセグメントバレット食道)の患者数が多いため、毎年の内視鏡検査は推奨していません。しかし、逆流性食道炎で治療中の方、3cm以上のバレット食道(LSBE)と診断されている方は、毎年の胃カメラで精査することをおすすめします。

逆流性食道炎の人はバレット食道になりやすいの?

必ずしも、逆流性食道炎の人がバレット食道になるというわけではりません。

 

逆流性食道炎があっても、なくても、バレット食道は発生しています!

逆流性食道炎 ➡ バレット粘膜 ➡ がん の発生

このような説の根拠として、欧米では、ここ50年くらいの間に「扁平上皮がん」よりも「食道がん腺がん」の数が逆転して上昇しており、逆流性食道炎の増加との関連が示唆されています。そして実際に、食道と胃のつなぎ目の部分(食道胃接合部)の がん も急増しています。

食生活の欧米化に伴って、「将来、日本でもバレット食道がんが増加するのではないか?」といわれてきましたが、実際にはまだそこまでの急激な増加はありません。

逆流性食道炎+バレット食道 は要注意

ただ、逆流性食道炎があると、がんが発見しにくくなるというデメリットはあります。

逆流性食道炎 + バレット食道 ➡ がんの発見の遅れにつながる

「逆流性食道炎+バレット食道」のふたつの症状がある場合、粘膜に炎症があり、小さな がん が発生していても見つけにくい問題があります。結果として、がん の発見の遅れにつながります。逆流性食道炎がひどい場合は、しっかり治療して、再度検査をする必要があります。

薬でなかなか治らない場合は、前回動画を参照してね!

バレット食道からのがんを予防できないのか

残念ながら、バレット食道を焼いたり切ったりして予防しようという試みもあるようですが、効果のほどは良く分かっていません。現状では、早期に発見して早期に治療することが重要です。

日本では、欧米に比べて、胃カメラが気軽に受けられる状況にあります。逆流性食道炎やバレット食道がある人は、こまめに検査を受けて早期発見を目指しましょう!

まとめ

今回は、パンダ先生の病気の学校から「逆流性食道炎 がんになる…? バレット食道編」について解説いたしました。

バレット食道は範囲が広くなるほどがんになりやすく、3cm以上(LSBE)は危険な状態です。また、逆流性食道炎やバレット食道がある場合は、がんの発見が遅れる原因となるため、しっかりと治療をしておくことが必要となります。早期に発見して、少しでも体に負担のない治療を受けるために、毎年の内視鏡検査を心がけましょう!!

関連動画

 
 
 
 

 

タイトルとURLをコピーしました