今回は、パンダ先生の病気の学校から『中心静脈カテーテル ポート造設ってなに?』をご紹介いたします。
詳しくは、下の動画をごらんください。
中心静脈カテーテルとは?
中心静脈カテーテルとは、普通の点滴の針とは異なり、長いチューブ(=カテーテル)を中心静脈(心臓の近くの太い血管)に留置する方法です。抗がん剤治療が長期間・長時間にわたる場合や食事が取れなくて点滴で高カロリーの輸液が必要になる場合に、腕からの普通の点滴では薬液が投与できないことも多いです。そこで、体の中の一番太い血管である「中心静脈」にカテーテルを留置するのです。
中心静脈ってどこにあるの?
中心静脈の位置
中心静脈は、心臓の近くにある太い血管のことをいいます。「上大静脈」と「下大静脈」の2つを指すのが一般的です。体中から集めた血液が、中心静脈に集まってきて、最終的に心臓に戻ってくるわけですね。がん細胞を破壊するタイプの抗がん剤のように刺激が強い薬剤は、細い血管に入れると痛みが強く出たり、薬液が漏れてしまって皮膚がとっても腫れてしまうことがあるのです。中心静脈にしっかり投与できれば、薬液はすぐに薄められて全身に行き渡りますので、抗がん剤や、濃度の濃い高カロリー輸液なども安全に投与することができます。
上大静脈(じょうだいじょうみゃく)とは・・・
鎖骨下静脈、内頚静脈など、上半身に流れる血管を集めて心臓へ流れ込む太い静脈のこと。
下大静脈(かだいじょうみゃく)とは・・・
体の中の一番大きい血管で、大腿静脈、腸骨静脈など下半身からの血液集めて心臓に送り込む静脈のこと。
”CVカテーテル”って、どんな時に使われるの?
CVカテーテルを留置する目的とは?
CVカテーテルの目的は、重要な薬剤を「確実に」体内に投与することです。
血圧を維持するような薬剤を使っている重症患者さんの場合は、薬液の漏れが血圧低下など命取りになる可能性もありますので、絶対に漏れてほしくない場合にはCVカテーテルの適応になります。
また、重症患者さんでなくても、腕の静脈から点滴を何度もくり返していると、表面の血管がつぶれて使えなくなってしまったり、血管が痛んで血管炎を起こしたり、薬液が漏れてしまい皮膚が腫れてしまうことがあります。刺激の強い薬液(抗がん剤、高カロリー輸液など)が必要な場合は、CVカテーテルの利用を検討します。
CVカテーテルの合併症
CVカテーテルを留置することで引き起こされる合併症には、以下のようなものがあります。
- 肺を刺してしまう(気胸)
- 動脈を刺してしまう(出血・血種・血胸)
- カテーテルに血栓がつく
- カテーテルが感染源になる
1・2は、挿入時に起こる合併症です。
3・4は、すぐになってしまう場合もありますが、数か月とか長期間使用しているとたまに起こってしまう合併症です。感染症は特に要注意で、カテーテル刺入部の皮膚が赤く腫れてきたり、高い熱が続くようならカテーテルを抜く必要があるかもしれません。日々の観察が大切です。
CVカテーテル以外にも方法がある!
PICC(ピック)カテーテル
PICC(ピック)カテーテルとは、上腕の血管から中心静脈まで、細いカテーテルを挿入する方法です。中心静脈カテーテルと比較すると、気胸・血胸などの合併症がほとんどなく、感染症のリスクが低い点から推奨されています。
しかし、PICCカテーテルは、細くて長いといった特徴から詰まりやすく、大量の輸液投与には向いていません。また、穿刺部から中心静脈までの距離が長く、挿入がやや難しい場合もあります。
ポート造設術とは?
ポート造設術とは、CVポートと呼ばれる小さな器具を皮下に埋め込むことで、確実に血管内に薬剤を投与することができる方法です。
CVポートは、「皮下埋め込み型ポート」という中心静脈カテーテルの一種です。カテーテルを留置しながらも、普段通りの日常を送ることができるというメリットがあります。ポートの種類にもよりますが、採血や輸血出来るタイプもあります。
ポートの造設は、腕の表面の血管がつぶれてしまって、使えなくなってきたとき、長期間の抗がん剤を投与する予定がある・在宅で高カロリー輸液などを行う必要があるときに行われます。CVポートは、必要なくなったら、簡単に抜去できます。
CVポートは、”がん治療・在宅医療”では重要な役割を担っています。
CVポート造設の危険性・トラブル
CVポート造設時の危険性・トラブルは、以下があります。
- 気胸、動脈穿刺・損傷、血気胸など(CVカテーテルの挿入時のトラブルと同じ)
- 局所麻酔薬を使うので、アレルギーや中毒症状などが引き起こされる場合がある
- カテーテルやガイドワイヤーが血管内に入ってしまって、取れなってしまうこともある
長期間、留置した場合のトラブル
CVポートを長期的に留置することで引き起こされるトラブルもあります。
- カテーテル周囲に血栓(血の塊)が出来てしまう
- ポートやカテーテルが感染源になる
- ポートの上の皮膚が薄くなって壊死してしまう
- ポートがひっくり返ったり、カテーテルが断裂したりすることもある
CVポートを留置したら、注意すべきこと!
ポートは毎日、よく観察をして感染に注意しましょう!
感染を放置すると、命にかかわります。
まとめ
今回は、パンダ先生の病気の学校から『中心静脈カテーテル ポート造設ってなに?』について解説いたしました。
”中心静脈カテーテル”は、確実に薬液を体内に入れる方法です。抗がん剤治療が長期間・長時間にわたる場合や食事が取れなくて点滴で高カロリーの輸液が必要になる場合に留置されます。”CVポート”は皮下に埋め込んでしまうことで、カテーテルを留置しながらも普段通りの日常を送ることが可能です。CVポート留置の際には、とくに感染に注意しましょう!
パンダ先生の病気の学校の動画配信では、さらにわかりやすく解説しています!
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