「がん検診・自分の家族歴知ってる?遺伝?家族歴を知っておこう。」

今回は、パンダ先生の病気の学校から「がん検診・自分の家族歴知ってる?遺伝?自分の家族歴について知っておこう。」についてご紹介いたします。

詳しくは下の動画をクリックしてご覧ください。

がん家系は存在する!?

実際に「がん家系は存在します。」

現在、日本人の2人に1人はがんにかかるといわれています。がんには、「家族性腫瘍」「遺伝性腫瘍」があり、食生活、生活習慣、生活環境など同じ環境で生活し成長することが要因となったり、生まれ持った体質から同じような種類のがんを発症したりと様々です。がんの種類にもよりますが、たとえば、大腸がんの場合は5%は、遺伝性に発生したがんだと言われています。

家族性腫瘍とは?

家族(血縁者)に「がん(腫瘍)」が集積して発生したがんのことを言います。

食生活、生活習慣、生活環境など生活を共にしているため、発症する要因が同じになります。例えば、同じような食事を食べているとか、運動する習慣が少ないため、肥満が多いということが遺伝だけではない要因で家系にがんの発症が多いという可能性はあります。

遺伝性腫瘍とは?

原因となる遺伝子が解明されていて、その遺伝子が受け継がれていることで発生する腫瘍です。

遺伝性腫瘍は、若くしてがんを発症したり、複数回のがんになることも多いです。特定の種類のがんが家系内に多く発生している場合は要注意です。原因となる遺伝子は、親から子へ1/4の確率で遺伝します。

家族歴について…  

参考文献が少ないため、なかなか家族歴を調べるのは難しいのですが、日本から出た論文をご紹介します。

JPHCコホート研究 (論文PMID:31595492・・・特定地域の住民10万人を対象として、あなたの家族にがんの方はいますか?お酒は飲みますか?タバコを吸いますか?など生活習慣を含めてアンケート調査をして、がんの罹患状況を10年以上の経過を追った研究です。

家族歴のある人・・・両親、兄弟、姉妹に少なくとも1人ががんになったことがある人は自分も何らかのがんになるリスクが1.1倍高かったという興味深い結果が出ました。タバコやお酒の影響を除外しても同じような結果になりました。(ただし、アンケート調査なので、ほんとうに家族歴が正確に調査できているのかは分からない部分もあります。)

特に家族歴に関連が強かったがんの種類は、以下のようになっています。

  • 食道がん(2倍)
  • 胃がん(1.3倍)
  • 肝臓がん(1.7倍)
  • すい臓がん(2.6倍)
  • 肺がん(1.5倍)
  • 子宮がん(1.9倍)
  • 膀胱がん(6.3倍) 

家族歴を整理すると…

家族歴は家系図書くように、誰が、どの種類のがんになったかを書いていきます。この方法は、医療の現場でも使われています。自分の家族に多いがんの種類が見えてくるかもしれません。

(女性=〇 男性=□)

この方法は身内の方の不安を煽ってしまう可能性があるため、まずは自分1人でやってみることをお勧めします。

代表的な遺伝子腫瘍

遺伝子腫瘍リストACMG(米国の研究組織)というものがあります。その中から治療や予防に対応できる代表的な遺伝性腫瘍が15種類あります。

その中でも日本で特に注目の遺伝性腫瘍で、50%の確率で遺伝するものがあります。

  • FAP(家族性大腸ポリポーシス)・・・100個以上ポリープがある。60歳までに100%の確率で大腸がんになる。大腸以外にも腫瘍が出来ることがある。
  • リンチ症候群(Lynch博士)・・・70歳くらいまでに大腸がん、子宮がん、胃がん、卵巣がんなどいろいろながんにかかりやすい。
  • HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)・・・アンジェリーナ・ジョリーさんががん予防をするために乳房の切除、卵巣卵管切除術を受けた例が代表的です。

リンチ症候群かもしれない人とは?

リンチ症候群になりやすい人は家族歴でわかります。大腸がん、子宮体がん、小腸がん、尿管、腎盂のがん、胃、卵巣、すい臓、脳腫瘍などの家族歴がある人は注意が必要です。

リンチ症候群の可能性がある場合は、保険診療内で遺伝カウンセリングを受けることができます。もしリンチ症候群であった場合は、リスクのあるがんを中心に計画的に検査を受けることで早期発見を目指すことになります。

がんになりやすい遺伝性腫瘍は、治療の効果が見込めないのでは?と思われる人もいるかもしれませんが、実はリンチ症候群ではない方と比べて治療成績は悪くないと言われています。

HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)とは?

HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)・・・BRCAといってがん抑制してくれる遺伝子が変異することにより、高確率でがんを発症するものです。30代、40代から発症し、乳がん6~12倍、卵巣がん8~60倍、男性も乳がんになる可能性があります。前立腺がんやすい臓がんのリスクもあります。 

アンジーはなぜ手術をしたのか?    

米国人女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは母親を含む3人に近親者が乳がん、卵巣がんで若くしてなくしていたため、遺伝子検査を受け「HBOC=遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と診断されました。

がんが見つかったわけではないが、腫瘍マーカーの上昇もあり、卵巣がんのリスクが高いと考えられ、両方の乳房、卵巣と卵管を切除しました。アンジーはこのような病気の存在や治療の選択肢を広く知ってもらいたい。役立ててほしいと自らの情報を公表したということです。素晴らしい女性ですね!

まとめ

今回のパンダ先生の病気の学校ブログでは、「がん検診・自分の家族歴知ってる?遺伝?自分の家族歴について知っておこう。」について解説しました。

まずは、自分の家族歴を整理することで、自分のリスクに見合ったがん検診を見つけられると思います。そして、遺伝子検査を受ける場合には、まずは家族に相談しましょう!

それぞれについて詳しくは、動画を作成していますので、ぜひご覧ください。

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