今回は、パンダ先生の病気の学校から「がんの危険因子・その2 アルコール 肝臓だけじゃない!乳がん・食道がんも」をご紹介いたします。
詳しくは、下の動画をご覧ください。
飲酒すると、どんながんにかかりやすいの?
日常生活のちょっとした楽しみとして親しまれている「お酒」。
日本人男性の17%(6人に1人)が、毎日お酒を飲んでいます。しかし、毎日の飲酒は、アルコール依存症だけでなく、「がん」をはじめいろいろな病気のリスクが高めてしまいます。
家の主人も毎日晩酌してるけど
だいじょうぶかしら?
心配だわ・・・。
そうはいっても、仕事の付き合いで
お酒を飲むことが多いし・・・。
がんの原因物質は「アセトアルデヒド」
アルコールそのものが、がん を発生させるわけではありません。口から入ったアルコールが、肝臓で分解され「アセトアルデヒド」という物質を発生します。体内の「アセトアルデヒド」の濃度が高まると、顔が赤くなったり、動悸、頭痛・吐き気、 二日酔いの原因になります。
この「アセトアルデヒド」が、発がんのリスクになります。
口の中から食道にかけて、要注意!
飲酒が原因となる「がん」のリスクが高いのは、アルコールが直接暴露される場所のがんです。具体的には、以下の場所ですね。
- 食道がん
- 口腔内
- 咽頭・喉頭
さらにお酒を飲む人はタバコを吸う人も多いのですが、タバコも飲酒も同じ部位に、発癌性の物質が暴露されることになります。お酒と喫煙の相乗効果によって何倍ものリスクになるのです。
「たばこと乳がんとの関連」が最近注目されている
日本のコホート研究の結果から、飲酒をする人は、しない人に比べて、乳がんになりやすいということが、わかりました。
今、飲酒が乳がんのリスクを高める要因として注目されています!
がんのリスクは、体質によって決まる!
お酒を飲むとアルコールは胃腸で吸収され、肝臓に送られます。肝臓では「アルコール脱水素酵素」の作用で、アセトアルデヒドとなり、「アセトアルデヒド脱水素酵素2型」の作用で酢酸に変わります。
アルコール脱水素酵素
アルコールを分解するのが「アルコール脱水素酵素」で、この酵素が弱いと酔っぱらいやすい体質になります。
アセトアルデヒド脱水型酵素2型
「アセトアルデヒド脱水素酵素2型」の作用が弱いと、アセトアルデヒドを酢酸に変えることができないので、アセトアルデヒドがたまってしまいます。これが、頭痛・吐き気、二日酔いの原因になります。この「アセトアルデヒド脱水素酵素2型」は、3タイプにわけられます。
- 活性型=お酒に強い
- 低活性型=お酒に弱い
- 失活性型=お酒が全く飲めない
自分のアルコール遺伝子を調べる方法
自分の「アルコール脱水素酵素」のタイプをもっと詳しく知りたい方は、アルコール遺伝子キットが市販されていますので、ぜひお試し下さい。
どのくらい飲むと危険なのか?
アセトアルデヒド脱水素酵素2型が低活性型の場合、食道がんのリスクは以下のようになります。
- 毎日、1合の飲酒で約7倍
- 毎日、2合の飲酒で約60倍くらい
顔が赤くなる人が、無理して飲み続けると「かなり危険」です。お酒が弱いのに、ついつい飲んでしまう人は、要注意です!
乳がん・大腸がんのリスクになる
アルコールは、乳がん・大腸がんのリスクにもなるといわれています。
飲む量が増えるほど、がんのリスクは高くなります。
日本人の調査(JPHC研究)では、毎日1合以上でこんなにリスクが高くなります!
- 乳がん 1.7倍
- 大腸がん 1.4倍
世界共通の換算式
アルコールの換算式を利用して、1週間に自分が、どんな種類のアルコールをどのくらい摂取しているのかを参考にしていただくことをおススメします。
- 1合=エタノール換算23g
- アルコール1単位=20g
この2つは大体同じ量になります。
日々、自分がどのくらいアルコールを摂取しているのか?
意識することも大切なんですね!
実は、嘘だった「百薬の長」
昔から、お酒は少し飲むくらいが長生きの秘訣などと言われてきました。しかし今は、ほぼその説は否定されています。
広告媒体などでこういう事実があまり広められていないのは、アルコール関連企業のスポンサーの力が強いこともあるかもしれません。
決め手になった、2018年の論文
「百薬の長」が否定された、論文を見てみましょう。192の地域からすでには発表になっている600前後の論文やデータをを集めて、すべて統合して解析をしたものです。
昔から、アルコールを適度に摂取することが、体に良いとされてきました。ですが、この論文の結果は少しでもアルコールを摂取すると、がんだけではなく、ほかの病気を含めた死亡リスクが上がることが示されています。
日本人と西洋人には、リスクの差がある!
昔から、日本人と西洋人のお酒に関する害について、リスク差があるといわれています。2008年に日本から出た論文で、8つの研究を集めて解析したものです。
- 日本人の場合・・・少しの飲酒でも、大腸がんのリスクが上がる。
- 西洋人の場合・・・少し飲酒が、リスクを下げる。
日本人の場合は、少しだけのお酒もリスクになり、さらに量が増えれば増えるほど、大腸がんのリスクが高くなるということがわかりました。
日本での推奨は、理想的なアルコール消費量はゼロ!
日本では、まだ「禁酒すべし」とまでは強く推奨されていません。日本で、禁酒を推奨してしまうと、社会に与える影響が大きく、飲食業界にも大打撃を与えてしまいかねません。日本での推奨は、1日23g=日本酒1合ぐらいは、飲んでも良いとされています。しかし、論文のデータを見ると、おそらくお酒を飲まない方が良いでしょう。
国際的には、1週間=100g以下などになりつつあります。
お酒とうまく付き合うために・・・
アルコールには、少しでも摂取をすると、がんやそのほかの病気のリスクが上がるということを知識として、知っておく必要があります。
そして、リスクを許容したうえで、気を付けながら「飲む」ということが、大切です!
毎日晩酌される方は、習慣を見直すことが必要ですね。
まとめ
今回のパンダ先生の病気の学校ブログでは、「がんの危険因子・その2 アルコール 肝臓だけじゃない!乳がん・食道がんも」について解説いたしました。
お酒を飲むことで、アルコールがどのように体に害を与えていくのか?どんながんのリスクになるのか?知っておくことが、飲酒と人生を長く楽しむ、手助けとなります。お酒の適切な量と適度なお付き合いを心がけましょう!
詳しくは、動画で分かりやすく、パンダ先生が解説していますので、ぜひご覧ください。