がんのリスク その3 体重管理

今回は、パンダ先生の病気の学校から

がんのリスク その3 体重管理 肥満だけじゃない・やせてても危険!

をご紹介いたします。詳しくは、動画もご覧ください。

「太りすぎ」「やせすぎ」は、がん のリスクになる?

一般的に「太っている=病気になりやすい」「やせている=健康的」というイメージを持っていませんか?しかし、「太りすぎ」「やせすぎ」は、どちらの場合もいろいろな病気のリスクになります。

太りすぎ、やせすぎ、どちらも がん のリスクになることが最近の研究で分かっています。ただ、がん になった人が、その後に体重を適正にした場合、「がんの再発が予防できるのか、進行を遅らせることができるのか?」は、まだ分かっていません。

どのくらいの体重がベストなの?

自分が「太っているのか?」「やせているのか?」は、身長と体重で評価します。BMI(Body Mass Index)という指標が使われています。BMIの計算方法は以下の式です。

BMI = 体重 (Kg) ÷ 身長 (m) の 二乗 

ただ、欧米人は概して日本人より太っている人が多いので、国によって肥満の基準は異なります。日本肥満学会は、以下を肥満の定義としています。

  • BMI=18.5未満・・・低体重(やせ)
  • BMI=18.5~25・・・普通体重
  • BMI=25以上・・・肥満

例えば、体重55kg、身長160cm(1.6m)の場合

55kg ÷ (1.6 × 1.6) = 21.5 

適正体重であることが分かります。

身長はメートルで計算するのを間違えないようにしましょう。

これは、あくまでも日本の定義で、WHOでは30以上を肥満としています。国によって体格の違いや食生活の違いがあり、どのような病気になりやすいのか?も変わってきます。

簡単に自分の「BMI」を調べるには?

身長に対する適正体重表」を使うと、計算式を使わずに、簡単に自分のBMIを調べることができます。自分の標準体重を知ることで、運動習慣や食生活の見直しにつなげましょう!

浜松市健康応援サイト」から引用させていただきました。かわいいですね!

体重(BMI)と「がん罹患」の関係

体重と「がん」の関係について、2004年に発表された日本人のコホート研究(JPHC研究)という結果が発表されています。BMIと がん になるリスクを研究したものです。(PMID:15280625

横軸…BMI指数   縦軸…がんになるリスク
BMI 23~25を標準とした場合、やせすぎ、太りすぎの方の がん発生リスクは
  • BMI 19未満・・・1.29倍
  • BMI 30以上・・・1.22倍

つまり、「やせすぎ」も「肥満」もどちらもリスクということが示されています。

日本人の基準からすると、少しぐらい「肥満」でも、あまりリスクが上がらないことがわかっています。欧米人と日本人は、体脂肪、筋肉量、ホルモンが関係して肥満の基準が異なります。さらに、人種によって、なりやすい「がん」も変わってきます。

「やせていることがリスク」という研究は、海外の論文ではあまり見られない結果です。日本人にとってはとても大事な情報ですね

海外の研究も見てみよう。

さらに海外の研究では、肥満と がん について大規模な調査結果が報告されているので、そちらも見ておきましょう。2017年に医学雑誌BMJに発表された論文(PMID:28246088)が、その代表例です。

肥満は、11種類の「がん」に関与していた!

この論文は、過去に発表された507の研究から、肥満と がん の関係についてまとめられているデータをさらに統合解析したものです。これによると、36種類の がん と肥満の関係を調べて、そのうち11種類の「がん」と肥満が関与していることが明らかになりました。

どのくらいリスク?

この論文によると、肥満による がん のリスクは、以下のようになっています。

男性の場合・・・BMIが上がるごとに大腸がんのリスクは30%増加

女性の場合・・・成人期の体重増加5kgあたり11%のリスク増加

 

女性の場合は、特に以下の注意が必要です。

  • 成人期の体重増加は閉経後乳がんのリスクが高い
  • 中年期の体重増加も注意
  • 子宮体がんは、ウエストヒップ比と相関が強い(内臓脂肪の増加)

肝臓がんのリスクも注目されている!

肝臓がんのリスクとして、非アルコール性脂肪肝炎ナッシュ(NASH:ナッシュ)が注目されています。通常、肝臓がんのリスクは、肝炎ウイルスやアルコールから肝硬変になり、がんを発症します。しかし、ナッシュの場合は突然「がん」を発症します。NSAHの治療は体重の管理も重要です。

ウイルス感染やアルコールをあまり飲んでいないのに、脂肪肝になっている人は、ナッシュの可能性が高いため、受診をおススメします。

体重の内容(体組成)も重要

体組成とは、筋肉、脂肪、骨など体を構成する組織のことをいいます。

同じ体重でも、内脂肪が多い人、筋肉量が多い人、病気が原因で体の水分量が多い人がいます。体組成計を使って、体脂肪率、筋肉量を測定して、自分の体の状態を知っておくことが、必要です。

簡便には、腹囲を測る方法があります。

男性・・・85cm以上

女性・・・90cm以上

この基準を超えると、内臓脂肪型肥満となります。

体脂肪を減らし、筋肉量を維持していくためには、食事制限をするだけでなく、運動習慣も重要になります。

まとめ

今回のパンダ先生の病気の学校ブログでは、「がんのリスク その3 体重管理 肥満だけじゃない・やせてても危険!」について解説いたしました。

身体能力が高い人ほど、長生きできる」という事実があります。極端なやせと肥満は、多くのがん発症のリスクも高くなります。BMIと体組成を意識して、体脂肪を減らし、筋肉量を維持するこが必要です。日々の生活に適度な運動を取り入れて、楽しみながら継続していきましょう!

詳しくは、動画配信をしていますので、ぜひご覧ください。

次回は、体重管理の続き「がんのリスク その4 運動・身体活動量」です!

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