逆流性食道炎といわれたら?

逆流性食道炎という病気を聞いたことがありますか?もともとは欧米人に多い病気だったのですが、最近は日本人にも増え始めています。一説によると4人に一人は逆流性食道炎になっているか、なりかけているかというくらい、身近な病気になりつつあります。みなさんもご飯を食べた後に胸やみぞおちの辺りに違和感を覚えたり、胸やけ、むかむかする感じがしたことはありませんか?

そういった症状は逆流性食道炎の可能性があります。今回は逆流性食道炎の解説をした動画の紹介と共に、逆流性食道炎についてのさわりをお話しさせていただきます。

逆流性食道炎ってどんな病気?

逆流性食道炎というのは、食べ物を食べたあと、食道から胃に食べ物が流れていくのが普通の消化の状態ですが、何らかのきっかけで胃から食道に食べ物が逆流してしまう状態のことを言います。食べ物は、胃の中で胃酸と混ざりますので、その胃酸を身にまとった食べ物が食道に流れ込むことになります。胃には胃酸から身を守る仕組みがありますが、食道は胃酸に弱いので、食道に逆流した胃酸が食道を傷つけてしまい、食道炎の症状が出ます。症状は、むかむかするとか胸やけがするとか、つい胸をさすってしまうという症状をおっしゃる患者さんが多いですが、人によって症状の訴え方もまちまちです。この逆流性食道炎の症状は、重症化するとかなりひどいことになりますので、詳しく動画で説明していきます。

逆流性食道炎の授業

基本的に、胃の内容物は食道に逆流しやすい位置関係になっている

立っている姿勢では胃液は逆流しにくいですが、前かがみになったり、横になったりすると逆流しやすくなります。臓器の位置関係として、食道は背中側にあり、胃の出口はお腹側にあるためです。逆流症状がひどい時は、なるべく体を起こして安静にする必要があります。

胃酸が食道に逆流するしくみ

薬を飲み続けないといけないの?

病気になった、となるとやはりお薬を飲まなければならない、と思う方が多いのではないでしょうか。どんな薬でも、そのお薬はずっと飲み続けなければならないのかどうかという不安がありますよね。

逆流性食道炎には、良く効く薬がいくつかあります。ドラッグストアで売っているガスターという薬は、胃酸の分泌を抑える薬です。この種の胃酸を減らす薬を飲むと、逆流しても食道炎が悪化しないようになります。最近はPPI(プロトンポンプ阻害薬)というさらに効果の強い薬がありますので、きちんと病院にかかって処方してもらうようにしましょう。

しかし、 次項で述べますが、一番大事なのは生活習慣の改善です。 お薬を長期にわたって使うことは副作用のリスクもありますし、通院も大変です。かなり長期間お薬を飲み続けている人もいますが、生活習慣の改善とともに薬をやめる人もたくさんいます。副作用については色々な症状がありますので詳しくは動画で説明しているのでご覧ください。

やっぱり生活習慣の改善が重要

副作用なく症状を軽減させるためには、生活習慣の改善が必要です。逆流性食道炎は年齢と共に増えていく病気ですが、それは加齢に伴って起こる体の変化などが関係しています。若い間と同じ生活をしていたら、それは逆流性食道炎の症状を悪化させるだけです。年齢を重ねたら重ねただけ、生活習慣を変える必要があります。

逆流性食道炎を悪化させる食事

一番大事なことは、食生活の改善です。具体的には、

  • 胃酸が増える食事を避ける
  • 胃にたまりやすい食事を避ける
  • 炎症を悪化させる食事を避ける

食べ物には、胃酸が出やすい食べ物があります。とくにアルコールやカフェインは胃酸が増えますし、辛いものなどの刺激物は炎症を悪化させます。胃の中に止まり続ける時間が長いと、そのぶん逆流もしやすくなります。詳しくは動画を参照してください。ただし、このすべての食べ物を避け続けようと思うと、ストレスが溜まってしまうと思います。これらすべてが禁止というわけでないので、そのときどきで、少しずつ様子を見ながら食べていけばいいと思います。

また、食事内容だけでなく、夜遅くに食べない、食べた後すぐに横にならない、などの習慣づけも必要です。

腹圧を減らす

日ごろの運動習慣や体重のコントロールも重要です。

お腹周りの内臓脂肪を減らすことでお腹にかかる圧を減らすと、仰向けになったときに逆流しにくくなると考えられています。

ただし、食後すぐに体の体幹が大きく上下するような「激しい運動」は、むしろ逆流悪化の原因になるので要注意です。食直後に猛ダッシュで走ったりしないようにしましょう。

寝る時の姿勢は、一説によると左を下にした方が良いと説明している本などもありますが、これは食道裂孔ヘルニアや、胃のHis角の逆流防止機構の状態によります(詳しくは動画で)。基本的に胃の出口は右側を向いているので、左を下にすると食べ物は流れていきません。外科医の立場でバリウムなどで造影検査をすると仰向けか、左を下にした方が逆流が悪化することが多いと思います。同じ逆流性食道炎でも人によって良い姿勢も変わってくるので、試しに左を下にして横になってみましょう。逆流する感じやお腹の圧迫感が出るようなら、右を下にしてみましょう。ただし、基本的には食後は横にならないほうが良いです。

右を下にした方が良いと言われる

治らなければ手術も

薬を飲んでも、生活習慣を改善しても、どうしても良くならない場合は、手術をすることがあります。

とくに食道裂孔ヘルニアという病気のために逆流性食道炎になっている場合はヘルニアを手術が必要となることもあります。どんな手術かは動画で図解して説明しているので、ご覧ください。

逆流性食道炎のまとめ

今回は、逆流性食道炎について、その症状から薬の必要性、生活習慣の改善などについてお話ししました。このページを読んでおくと、きっと動画の理解度も深まることでしょう。動画では図解しながら解説をさせていただいています。逆流性食道炎に苦しむ患者さんにすこしでも役立てればと思います。

それでは、渾身の動画はこちらになります。ぜひチャンネル登録をして何回も見て理解を深めてください。

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