胃がんで手術と言われたら

あなたのご家族が、胃がんで手術が必要ですと言われたら、手術について医師の説明を聞きに行くことになるかもしれません。最近、がん治療はどんどん複雑になっていて、色々な情報が錯綜して分かりにくいと思います。パンダ先生の病気の学校では、校長のパンダ先生がやさしく、わかりやすく病気について解説しています。ぜひ医師の説明を聞く前に、こちらの動画をご覧いただき事前に知識を整理してみてください。

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胃がんで間違いないか確認しよう

病状説明を聞く際に、大前提として、本当に胃がんの細胞が出ているか?ということは確認しておきましょう。検査で胃がんだと思ったけど、実は良性の潰瘍やリンパ腫などの全く別の病気だったということもあります。珍しいけれど、他のがんが、胃に転移していたということもあります。胃の裏に膵臓という臓器がありますが、膵臓がんが胃の中に顔を出していたというケースもあるのです。

本当に胃がんなのかどうかは、胃カメラで病気の部分の細胞を取ってくる「病理検査」を行えば大抵は分かります。「腺癌」というタイプの細胞が見えていれば、いわゆる「普通の胃癌」と考えられます。

ガイドライン・標準治療って何だろう?

胃がんの治療方針は、「胃癌治療ガイドライン」という本に詳しく書かれています。どの病院でも、基本的にはこのガイドラインに沿って治療しているため、どこの病院に行っても大体は同じような治療法を提案されるでしょう。

ガイドラインで勧められている治療法を「標準治療」と言います。ガイドラインというのは、臨床試験等で効果があることが証明された治療法を推奨するものです。標準治療は、あくまで「推奨」される治療なので、その治療が本当に個別の患者さんに適しているかは、患者さんと主治医の先生で話し合って決めていくと良いでしょう。

多くの人は、一番治りがよい治療方法を受けたいと思うでしょう。でも、中に手術を受けたくない、体力的に自信がない、手術後の生活が心配、などの不安が強い方もいらっしゃいます。まずは標準治療が何なのか、そしてその効果(どのくらいの確率で治るのか)を知ったうえで、自分はどういう治療を受けたいのか、最後は「自分で」決めることになります。

ステージは、がんの2つの悪い性質 で決まる

ガイドラインは、がんのステージ別に治療方針が書かれています。ではステージはいったいどのように決定されるのでしょうか?実はステージを決定する要素は2つしかありません。がんの「深さ」と「転移状況」です。

「がん」がなぜ怖いかというと、ざっくり2つの悪い性質があります。

一つは、「大きくなる(浸潤する・しんじゅんする)」性質、

もう一つは「飛び火する(転移する・てんいする)」性質です。

胃がんは、胃の内側の粘膜から発生します。それが大きくなって浸潤してくると、最終的に胃の壁を破って外にがんが飛び出してしまうことになります(播種(はしゅ)するといいます)。こうなると、胃を手術で切り取っても、がん細胞がお腹の中に散らばってしまい、治りが悪いです。がんが、「どのくらい深く浸潤しているか」が問題になるのです。

深達度の図

そして、がん細胞が血管の中に侵入してしまうと、がんが遠くの臓器(肝臓や肺など)に飛び火(転移)してしまいます。遠くの臓器に転移してしまうと、いくら胃を手術で切り取ってもがんが体に残ってしまいます。「転移」には2段階あり、まずは胃の周囲のリンパ節に飛び火し、その後肝臓や肺などの遠くの臓器に転移するのです。このあたりの理屈はわかりにくいと思うので、リンパ節転移とリンパ節郭清について動画でわかりやすく解説していますので、ぜひご視聴ください(再生時間12:15あたりです)。

ステージは、「深さ」と、リンパ節転移の数によって決定されます。つまり、がんが深く浸潤するほど、リンパ節にたくさん転移があるほど、ステージが上がってしまうのです。

ただし、正確には、ステージは手術をしてみないと分かりません。手術で胃と周囲のリンパ節を取ってきて、顕微鏡の検査(病理検査という)をします。病理検査の結果、どのくらいがんが深く浸潤していたんか、どのくらいリンパ節に転移していたのか、が明らかになります。つまり手術前のステージは、あくまでも見込みなのです。

治療の基本は「手術」だが・・・

ステージIAの一部と、ステージIV以外では、基本的に手術が標準治療です。

手術の種類は、基本的には幽門側切除と胃全摘があります。基本的にがんの場所や大きさによって術式が決定されます。早期がんの場合には、縮小手術といって胃を切る範囲を少し小さくすることも可能です。この辺りもすこし複雑な話になるので、興味のある方はぜひ動画の解説をご覧ください。

幽門側切除の範囲
胃全摘術の図

まとめ・胃がんで手術と言われたら!?

病状説明を聞きに行くときは以下の3つを確認しましょう。

  • 胃がんで間違いないか(病理検査で胃がんの細胞が確認されたか?)
  • がんの深さ、リンパ節転移の状況は?(ステージの予測はどのくらいか?)
  • 胃をどのくらい切るのか(幽門側切除=2/3を切る手術か胃全摘術か、それとも縮小手術か)

胃がんで手術と言われたら、病状説明編はコチラからご覧ください。

関連動画もぜひご覧ください。

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